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外面ソバー脳内パンク

映画を中心として物語の感想、考察

ブレードランナー ファイナルカット版 感想 考察

ブレードランナーの紹介

1982年アメリカ映画。舞台は2019年― 人類は宇宙へと進出し、開拓・移住が推し進められている近未来。未開の惑星で危険な作業に従事させるため、レプリカントと呼ばれるアンドロイドが作られ過酷な環境で奴隷のように酷使されていた。見かけは人間そっくりだが感情というものを持たないはずの人造人間レプリカント。だが、彼らの中から人間と同じように感情を持ち、独立しようと反乱を起こす個体が現れた。人間の中に紛れ込んだレプリカントを見つけ出し処分するための専門の捜査官「ブレードランナー」と、自由を求めて人類へ戦いを挑んだレプリカントとの戦いを描いたSF映画の金字塔『ブレードランナー』。

ブレードランナーの感想

最近、サイバーパンクというジャンルにハマっているのでGE◯でこの作品を借りてきました。
1回目の観賞は休みの日の朝食直後で、展開が遅めということもあり、うとうとしながら観ていました笑
正直、ラストの名シーン(考察のところで詳しく話すよ)までは街並みが綺麗としか思えませんでした。
しかし、観終わってから半日くらい経った頃から無性にまた観たくなり、次の日作業BGMとして監督の音声解説を流し見した後に二回目の観賞。今度は1回目と違ってカルト映画と言われる所以が理解できた気がします。
模型を使ったアナログな街並み、中国語ハングル語日本語が入り混じる不思議な世界観、弱すぎる主人公、レプリカントのロイ、全てが最高だと感じました。

ブレードランナーの考察

  1. ロイが手に釘を刺した理由
  2. ガフの折り紙の謎
  3. デッカードレプリカント!?
  4. 素晴らしい名シーン

- ロイが手に釘を刺した理由
劇中後半のデッガードvsロイのシーンでロイが自分の手に釘を刺しています。かなり強烈なシーンなので記憶に焼き付いている人も多いでしょう。

重要なのはクギを刺す前に震える手を抑えながら「まだその時では無い」みたいなことを言っている点。このことからロイに寿命による死が近づいていることが分かります。(セバスチャンが老化病だと知ったロイは我々も同じようなものだと言っていることから死に方も突然死ではなく予兆があるようですね。)
その死を少しでも先延ばしにするため手に釘を刺し、痛みを感じることでアドレナリンをだしているのです。

- ガフの折り紙の謎
まずガフが誰だか分からない人も多いでしょう

この人がガフです。やたら出てきてたでしょ?
このガフは劇中で3回、折り紙を折っています。
1回目
デッカードが仕事を断ろうとした時
チキン(鶏)を折っています。これは仕事を断ろうとしたデッカードをチキン(臆病者)だとからかっています。
2回目
デッカードとガフでレオンの部屋を捜索してる時(リオンは間抜け面のレプリカントね。)

マッチ棒みたいな人を折ってます。よく見ないと分からないのですが勃起してます笑
リドリー監督の音声解説によるとガフからの「挑戦」を示しているらしいです。
3回目
デッカードとレイチェルが一緒に逃げる時(一番最後のシーンですね。レイチェルはヒロインのレプリカントね。)

ユニコーンを折ってます。
実はユニコーンは劇中でこれ以外に一度登場してます。(噂によるとデッカードの部屋にも人形のユニコーンもあるとか)それがデッカードの夢のシーンです。
この夢のユニコーンはリドリー監督の音声解説によると英雄を示しているらしいです。
重要なのはそこではなく、なぜ”ガフがデッカードの夢に出てきたユニコーンを折ったのか(知っているのか)”という点です。
これは次の考察「デッカードレプリカント!?」に繋がります。

- デッカードレプリカント!?
(上記の考察と繋がっています。)
何故、ガフはデッカードユニコーンの夢を見ていたことを知っていたのか。
まず、デッカードは誰にもユニコーンの夢のことを言ってません。なので、ガフがその夢のことを知ることは不可能なはずです。
しかし、ここでデッカードとレイチェルのある会話を思い出して見ましょう。

デ「窓のそばにあった木に蜘蛛がいたことは?黄色の体に緑色の足。その木に蜘蛛は夏中巣を張っていた。ある日、巣に卵を産みつけた。卵は孵り…」
レ『卵は孵り…』
デ「ああ」
レ『何百匹の子供が母蜘蛛を…食べた』

もちろんレイチェルはデッカードにこの記憶のことを話してません。しかし、レイチェルの過去の記憶はタイレル(レプリカントの頭脳を作った人)の姪の記憶であり、タイレルからその記憶を聞いていたのでしょう。
それと同じようにデッカードレプリカントであり、彼の過去の記憶は誰か別の人(仮にAとする)の記憶であり、ガフはタイレルからその記憶のことを聞いていたのでしょう。
(もっともこの考察は「デッカード(A)は頻繁にユニコーンの夢を見る」という仮説を立てないと成り立ちませんが...)
また、デッカードレプリカントという伏線は至る所にあります。
まず、レプリカント(というかタイレル社の人工生物)の目はオレンジ色に光ります(設定上は観客である私たちだけがそう見えていて、この世界の住民はオレンジ色の光は見えていない)

そして、レイチェルがデッカードに「私が逃げたらあなたは追う?」と尋ね、デッカードが「俺は追わない。借りがあるからな。...だが、誰かが追う」と返すシーンでは、レイチェルとデッカードの両方の目がオレンジ色に光ります。
他にも、レイチェルがデッガードに対して「あなたは(VK)テストを受けたことがあるの?」と尋ねますが、デッガードはそれを黙殺する(VKテストを受けていないともとれる)シーンもありました。

- 素晴らしい名シーン
これは少し考察とズレますがロイの最期は名シーンですよね。展開が遅い作品だからこそ、このシーンが際立っていた気がします。

あのシーンのセリフの原文はこれ。

I've seen things you people wouldn't believe. Attack ships on fire off the shoulder of Orion. I've watched c-beams glitter in the dark near the Tannhäuser Gate. All those ... moments will be lost in time, like tears...in rain. Time to die....

それを直訳すると...

お前たち人間には信じられない光景を俺は見てきた。オリオン座の肩の近くで炎を上げる戦闘艦...。暗黒に沈むタンホイザーゲートのそばで瞬くCビーム...そんな記憶もみな、時とともに消えてしまう。雨の中の涙のように...俺も死ぬときがきた

ただ、ファイナルカット版の字幕は少し違います。

俺は お前ら人間には信じられぬものを見てきた。オリオン座の近くで燃えた宇宙船やータンホイザー・ゲートのオーロラ。そういう思い出もやがて消える、時が来れば。
涙のように、雨のように...
その時が来た。

ここで注目してもらいたいのが、「like tears...in rain.」という部分の訳です。
直訳の「雨の中の涙のように」対して、ファイナルカット版は「涙のように、雨のように...」となっています。
一見、「涙のように、雨のように」だと意味が違ってきて前者の直訳の方がいいように思えます。
しかし、口に出してもらうと分かりやすいと思うのですが前者だとリズム感が無いのに対し、後者はリズム感があり、どこか詩のような心地よさがあります。これはナイスな意訳だと私は思いました。
ちなみにこのセリフはアドリブらしいです!

最後に

ブレードランナーはアナログな方法(模型など)を使った最後のSF映画らしいです。
予算が限られてたこともありその撮影方法はとても興味深いものばかりです。
たとえば、背景やオブジェクトなどは向きを変えたりして使い回しているのです。(変な形の柱が分かりやすいと思います)
ここら辺を意識して、再度観賞してみると面白いですよ。